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審査員講評

本選会を終えて、当番審査員の各先生から各部門についての講評をお寄せいただきました。ぜひお読みください(順次更新)

幼児の部

​木村真由美 先生

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今年もたくさんの方々にご参加いただき、ありがとうございました。予選会同様、本選会でも素晴らしい演奏をたくさん聴くことができました。 どの方もとても上手で、子どもらしく楽しんで演奏している姿に、審査員一同とても感動して聴かせていただきました。 コンクールですので、どうしても順位が付いてしまいますが、それにはこだわらずこれからも楽しんで演奏してほしいと願っています。 幼児の部の参加者の方々はピアノを習い始めて長い方でもまだ2〜3年、短い方は数ヶ月の方もいらっしゃると思います。 身体の大きさもかなり個人差がありますので、現在のご自分の進度に合わせて無理なく出られるように自由曲での参加としております。 これは指導者の先生方へのお願いとなりますが、幼児さんの選曲はとても大変だと思いますが、今やっている曲より少し難しいくらいの選曲で、コンクールまでの期間、少しずつ取り組んでいける曲での参加が一番望ましいと思います。 決して難しい曲を教え込んで弾かせることなく、子どもたちが一つ一つ理解し、本番までの日々を楽しんで練習して取り組んでいけることが、とても大切なことと思います。 普段のレッスンがコンクールのためのレッスンになってしまうのではなく、コンクールはレッスンの中の通過点としてとらえ、これからもピアノとともに長く歩んでほしいと願っております。 保護者の方々には本番まで毎日の練習を頑張れたことをたくさん褒めていただき、本番のステージをみんなで楽しんでいただきたいと思います。 このコンクールへの出場が自分に自信を持つきっかけとなり、これからもピアノとの関わりが長く続きますように願っております。 また来年、一年成長した学年で楽しく演奏していだだけることを楽しみにしております。

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小学校 1 年生の部

斉藤香苗 先生

本選に参加された皆さん、良く頑張りました。課題曲が公表された時はまだ未就学でした。そして参加された方の中には初めてのコンクール参加の方も少なくはないと思います。ピアノの先生と一緒に選んだ曲はいかがでしたか?初めは難しかった曲も、練習を重ねるごとに手が馴染んできたと思います。 来年は小学2年生として参加することになり、選べる曲が増えるでしょう(弾ける曲)。秋、冬、コツコツと努力を重ねて、また札幌サンプラザホールのステージで演奏してくださいね。そして支えていただいた指導者と保護者の方々に、感謝申し上げます。 ♬ 課題曲 ♬ 素直で綺麗な音色でまとめていました。シンプルに1音1音を磨く演奏、工夫をして装飾音符で彩る演奏もありました。装飾は多ければ良いものではありません。自然な流れを壊さないようにしてください。 ♬ 選択曲 ♬ 古典から近現代まで幅広い選択曲です。拍子、リズム、調性、様々な内容でしたが、ほぼタイトルが付いてました。そのタイトルをイメージして表現する演奏が多く、審査員も改めてそれぞれの楽曲の魅力を発見できました。 ① ペダルを使用する曲があり、良く聴きながら演奏していました。体のバランスを取るのが大変だったと思います。 ② 音数の多い曲を鮮やかに演奏していました。ゆっくり練習をしていないと指任せな演奏になってしまいます。どの音も大事にしたいですね。 ③ 美しい演奏姿の方がいました。肩を上下したり、肘や手首をクネクネさせたり、指をバタバタさせない方が良いですね。演奏する前に拍子を感じることも必要ですが、自然な呼吸と一緒に感じてください。 ④ 表情豊かな演奏がたくさん聴けました。歌うように、語りかけるように演奏することは、指の動き以上に大切かもしれません。これからも心を込めて演奏してください。

小学校 2 年生の部

佐藤睦美 先生

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毎日暑い中、練習も大変だったことと思いますが、とてもレベルの高い素晴らしい演奏を感激しながら聴かせていただきました。皆さんの音楽が好きな気持ち、それぞれの思いが広いホールに響き渡り、日々の真剣な取り組みや頑張りが思われ伝わってきました。また、ご家族の多々のサポートや、ご指導された先生の熱意あってのこの舞台だったと思います。ありがとうございました。 課題曲では、拍子感や様式も良くお勉強されていたと思います。選択曲ではそれぞれの個性にあった曲を選ばれ、技術に走ることなく音楽的な感性度が高い演奏が多く大変嬉しく思いました。 今後に向けてのアドバイスになりますが、学年が上がってくると、曲も大きくなり多声の作品も増えます。メロディー以外の和音、和声の移り変わりに更に興味を持ち、その変化を意欲的に表現していただけたらと思います。転調することで曲想の色合いがどのように変化するか、(自分の気持ちはどのように変わるかな? 緊張、リラックス?)和声の変化をどう表現するか、(一つのフレーズの中で一番濃い和音はどれかな?)等作品の中で探って行けると皆さんの素晴らしい感性が更に生かされ素敵な音楽に磨きがかかると思います。 皆さんそれぞれ良い面があり、審査は大変惜しい方も沢山いらっしゃいました。まだまだこれからです! 結果に一喜一憂せずに頑張っていただきたいと切に願っております。今後も皆さんの成長された姿、演奏を聴かせていただく機会を楽しみにしております!

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小学校 3 年生の部

藤田裕佳子 先生

本選会出場おめでとうございます。 今年度の小学3年生の演奏は、とてもレベルの高いものでした。 課題曲にインベンションが2曲入りましたし、バッハ以外の曲もテクニック的にも内容的にも難易度の高い曲でしたが、とてもきれいにまとめていらっしゃいました。選択曲も、どの曲も弾きごたえのある曲を魅力的に立派に仕上げていて、楽しく聴かせていただきました。 皆さんが、それぞれご自分の選んだ曲に一生懸命に向き合い、練習を重ね、本番の演奏に臨んだことが良く伝わりました。コンクールですので結果がついてきますが、その結果に一喜一憂することなく、この経験を今後の演奏に生かして頂きたいと思います。 審査に当たり、演奏を総合的に捉え評価させていただいておりますが、審査員も演奏を聴き感動する聴衆の一人であることに変わりはありません。音楽ですので、正解、不正解はありません。多くの聴衆に感動を与える魅力的な演奏が高く評価されるのではないかと思います。 演奏の安定に関わることとして、拍子とテンポがあげられます。機械的な正確さを求めるのではなく、聴いていて快い拍子感のある一定のテンポを保つことが重要です。指を動かして弾く事ばかりに気を取られずに、心の中で歌うことも大切です。歌ですので、フレーズの間には呼吸(ブレス)があります。聴衆も心の中で歌いながら聴いているので、その拍子感とテンポ感が聴衆と一体になると、感動を与えられます。 また、楽譜通りに正しく弾くだけでは魅力のある音楽にはなりません。音が美しく響くこと、客席までその響きが届くこと、何といっても美しいことが「魅力」のもとになっているように思います。 出演者の皆様も、ご父兄の皆様も、一度審査員と同じように全ての出演者の演奏を聴いてみてください。きっと、聴衆を感動させることのできる魅力的な音楽について、何かを感じることができるでしょう。それが、次の演奏で自分の魅力を高めることにつながると思います。 皆様の演奏をまた聴かせていただくことを楽しみにしております。

小学校 4 年生の部

松原寄美子 先生

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予選会から練習を重ねた皆さんの演奏は、いずれも素晴らしいものでした。審査員一同レベルの高さに驚きながらも音楽の楽しさを感じられる時間でした。ご家族の応援、指導者の皆さんのご指導にも感謝致します。 課題曲 納得した演奏は バロックスタイルの中で歌い それぞれの声部を聞き分け調和させられていた演奏でした。又拍子感に留意し、曲にあったテンポを選ばれていました。 疑問を感じた演奏は ロマンスタイルの様な歌い方、rit等テンポの急な変化等の表現がある演奏でした。 選択曲 印象に残った演奏は 生き生きと曲の特徴 作曲家の特徴を表現された演奏でした。   2曲を演奏する場合 時代、スタイル、特徴の違い等を練習の時から意識されると良いと思います。   同じ曲を長い期間練習しているといつの間にか、できない部分を練習する事に目が向きがちです。その曲に出会ったときの喜びや感動を思い起こしながら曲に向きあって頂きたいと思います。 来年は5年生、課題曲もレベルが上がっていきます。頑張ってください。 皆さんの演奏を聴くことを審査員一同、スタッフ一同楽しみにしています。

小学校 5 年生の部 課題曲

大川直美 先生

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本選会小学5年生の部に出演されました59名の皆様おめでとうございます。 予選通過から本選までの間、感覚を研ぎ澄ませてさらに表現の可能性を探り、完成度を高められたことを感じました。 ご指導の先生、ご家族のサポートのもと、このステージに向けひたむきに努力され素晴らしい演奏を聴かせてくださった皆様に心よりの拍手を送ります。 インヴェンションからの自由選曲を含めた選択肢には様々なキャラクターの曲がありますが、ご自分の選曲した作品について拍子感やテンポ感、性格を捉えて美しく生き生きと演奏されていた印象です。それぞれの作品に込められた感情を自分なりに感じて表現しようという姿勢を感じました。基本的な構成なども勉強されていると思います。 ただそれを頭の中の知識としてではなく音として聴く人に伝わるものとなっているか、さらに鋭敏に耳を使いましょう。 たとえば曲の大きな区切りとなるカデンツは『終わり』に聞こえているか、終わらなければ次の展開は新しく『始まり』ません。同じ音型が2度高くなる時、それは単に1音高くなるだけでなく和声も変化します。それぞれの和音の色を表す音となっているか、和音が移り変わるとともに自分の気持ちはどう動き、それが音として伝わっているか、などなど。 自分の音を自分の耳で判断がすることが大切です。音をイメージし、音を鳴らし、それを聴いて判断する、それを常日頃から心掛けることで音を聴く『耳』は育っていきます。 表現には音色の選択やデュナーミクの変化が伴いますが、単にその幅が大きいことではなく感情が動いた結果が指から鍵盤に伝わり強弱や音色の変化となることを考えてみましょう。 説得力ある表現のためには調性や和声などの音楽上の文法・語法のような知識も必要です。骨格のしっかりした音楽の上に感情が伴うことが聴く人に伝わる演奏になると思います。 そしてテンポについて。予選を通ってきたみなさんですので、作品の性格を捉えたテンポで演奏されていました。ただ、長い期間同じ曲を弾き続けているとだんだん速いテンポが心地よくなってきたり、じっくり歌おうと遅くなってくることがあります。速すぎて細やかな表情が感じられなかったり、遅くなってフレーズが纏まりづらかったりということになりがちです。 作品にふさわしいテンポであることはもちろんですが、自分にとって最適なテンポであるか、思い描いた表現を実現できるテンポであるか、いろいろに試しながら慎重に設定してください。 高学年になり課題曲の難易度も高くなりました。時には思うようにいかず、大変に感じたこともあったかもしれません。長い期間じっくりと曲に向き合い、自分なりに理解し仕上げて大きなステージで演奏できる喜びは素晴らしい経験になった事と思います。 たくさんの可能性を秘めたみなさんのこれからを楽しみにしております。

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小学校 5 年生の部 選択曲

三浦明子 先生

連日猛暑の中、本選会に進まれた皆様、おめでとうございます。皆様の熱演は、魅力溢れる音色と、日頃の鍛錬から連想される豊かな響きから奏でられていて、大変感動致しました。 小学5年生になると、選択曲もグッと難易度が高くなりますが、よくアナリーゼして研究された演奏をたくさん聴く事が出来ました。 コンクール曲を選ぶ時、自分の長所が上手に表現出来る、又は自分の感性に合った曲を選んでいる事が先ずは大切と思います。複数曲の中で自分に合っている曲を選び、数ヶ月間練習を重ねて、先生と一緒に構築し、教わった事が出来てきたら、その上をいく、自分の音が良く聴けて音楽表現を自分のものにし発信出来ている方々がいました。素晴らしくなめらかな美しい音色と完成度で魅了していました。 ところで皆様はピアノが大好きですよね! 皆んなどんな演奏してるのかな? って興味持ちますよね? コンクールに来たら、審査員ごっこをして一日中聴いてみたらいかがでしょうか。どうして上手いのか、どうして自分はこの賞なのか、生音を直にホールで聴く事で、音の世界がいかに多彩であるかが見えてくると思います。 ピアノは、人を感動させ、癒してくれます。又、コンクールに毎年参加される事で精神的にも鍛えられると、どんな状況でも耐え得る忍耐力や継続力、精神力が身に付き、大人になった時に大変役立ちます。世の中の人々に感動して頂けるように、毎日楽しみながら練習に励みましょう。また来年も、素敵な演奏にお目にかかれますことを楽しみにしております。

小学校 6 年生の部 課題曲

村上和歌子 先生

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本選会ご出場おめでとうございます。今年も多くの素晴らしい演奏に出会えましたこと、参加された皆さん、ご家族、ご指導の先生に心より感謝し御礼申し上げます。 今年43回を迎え、一桁の回では私も一参加者として出場しました。審査する立場でありながらも、自分が参加していたことと重ね合わせ、舞台袖のあの緊張感やステージでの全集中、積み上げた時間をいつも思い出します。 ピアノの上達のみならず、この暑い中目標に向かって頑張る精神、気力体力が備わることは尊いことで、コンクールの大きな意義として学び得るところだとあらためて思います。 小学6年生の課題曲は皆さん大変良くお勉強されていて、感動しながら聴かせていただきました。構成力、理解力、技術面、特に素晴らしかったです。 テンポ設定に関しまして。その曲に相応しいか、表現できる余裕があるか、速さの中にも表情を、ゆったりした中にも向かう先を。客観的に聴く耳と心も大切です。アンサンブル力を高めることも良い導きになります。 アーティキュレーションにつきまして。工夫が見られる方が沢山いらして嬉しく聴きました。言葉の伝え方が不自然でないか、最終的にあくまでも「自然」であることを忘れずに、そして伝える相手がいることをイメージできると届きます。 そして「縦と横の調和」と言うことは容易いですが、例えば美しい織物のように、そのバランスをいつも練習の時に心に留めて向き合えると素敵になっていくのだと思います。 今年は学コンチャレンジコースが新設され、学びのチャンスも広がりました。 私にとりましても、子供の頃の記憶が色褪せず貴重な経験となっていますように、結果云々に関わらず、皆さんが大人になった時にきっとこの毎日こどもピアノコンクールを思い出す時が来ると思うのです。自分を表現し、自信を持って成長していってください。 来年も沢山のご参加を心よりお待ちしています。

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小学校 6 年生の部 選択曲

棚瀬美鶴恵 先生

暑い夏にも負けない素晴らしい熱演の小学6年生の本選の審査をさせて頂きました。 まずは、この本選会にご出演されました生徒さん全員におめでとうと申し上げたいと思います。 皆さん、それぞれに輝いていらっしゃいました。 本当に僅かな差で賞が決まってしまいますが、どうか一喜一憂せずに自分の音楽を大切にこれからも成長されて頂きたいと思います。 私は選択曲についてお話しさせていただきます。 皆さんそれぞれに自分に合った曲を選ばれていて、とても魅力的に表現されていました。それぞれの曲に大変際だった演奏があり、審査を忘れて聞き入ってしまうほどでした。 古典も大変よく勉強されていて感心して聴かせて頂きました。 ロマン派もよく音を選び、左手との調和に気をつけていることが嬉しく思いました。近現代の曲もよく個性を皆さん出していたと思います。 来年からは中学生になる皆さんですが、新しい自分を発見しながら成長を楽しんでピアノを続けて頂きたいと思います。 また来年も聴かせて頂けることを、今から楽しみにしています。

中学の部 課題曲

酒井由美子 先生

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本選出場おめでとうございました。自身の音楽をしっかりと伝えようとする姿と完成度の高い演奏に、感動しながら聴かせて頂きました。 ところで、皆様は「バロックらしい演奏、バッハらしい演奏とは何か。」という壁に当たったことはありませんか? ただテーマを強調するだけではダメ、狭い範囲での極端なクレッシェンドディミヌェンドは相応しくない、歌う気持ちが先行してテンポが揺れるのはダメ……etc。NGなことはわかっていても、どう弾けば良いのか。 アゴーギク(表情のための意図的なテンポの変化)はあっても、拍感・テンポ感を最後までキープして、どこかのパートだけではなく全パートの響き(ハーモニー)に耳をすましてバランス作りを。ルールを守って演奏していくことで、自然な表情やバロック的な美しさが生まれてきます。 ……というのは模範講評でちょっとわかりにくいですよね。今日は、忙しい中学生の皆様に一番手っ取り早い勉強法を紹介しましょう。 バッハが課題になっているコンクールを聴きにいき、メモをとり、自分の感想と審査結果とを比べてみてください。どのような演奏が評価されるのかが客観的にわかります。 すでに実践されている方もいらっしゃいますよね。聴くことに1日を費やしたとしても、悩みながら練習する1ヶ月より得るものは大きいかもしれません。 バロックの壁を乗り越えて、また来年毎コンを受けてみましょう!

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中学の部 選択曲

山崎美嘉 先生

本選会ご出場おめでとうございます。 演奏された皆さん、ご指導なさった先生方、支えてくださったご家族の皆様に心よりお祝い申し上げます。 本選会だけあって、レベルの高い演奏が続きました。忙しいであろう中学校生活の中で、予選から本選までモチベーションを高く保って練習することはご苦労も多かったと思いますが、皆さんは集中力を持続して、美しい音で想いのこもった演奏をされました。曲に対する愛情と演奏を楽しんでいるのが伝わってきて何度も胸が熱くなりました。 その中でも上位に入賞された方は、バッハと選択曲の2曲ともよい演奏ができていたように思います。選択曲は古典期、ロマン期、近現代に渡り様々な性格の曲がありますが、自分の想いだけではなく、それぞれのキャラクターをきちんと表現されていました。その曲の生まれた背景や特徴などを捉え、曲全体を見通して構成をよく考えることは大切なことです。 曲が難しくなると、必死に練習して間違わずに弾くことばかりに気を取られがちですが、それで終わらせず、この曲で、この場面で、自分はどんな音を出したいのか、そのためにはどんなタッチが必要か、自分の耳でよく聴き注意深く練習することも必要と思います。せっかくよい演奏をしているのに、指や手首、腕のコントロールがきかなくなって、音の引っかけや小さなミスが多くなったり、響きが固くなったりと残念に思うケースもありました。 またメロディを心をこめてうたうことに集中し過ぎて、バックにあるハーモニーの色や、拍子感、リズムの面白さがあまり感じられず、メリハリの足りない演奏ももったいないと思いました。 拍子感とは説明が難しいですが、フレーズと切り離せないものと思います。声で歌ってみて、大事な拍がどこにあるかを意識する、また指揮をしてみるのもよい練習かもしれません。 皆さんが誠実に取り組んでいるのは素晴らしいことですが、もう一歩踏み込んで、習ったことをその通りに再現するだけではなく、納得感をもって、心からの表現ができるようになることをさらに期待しています。想像を膨らませて、自分のイメージ通りの音で表現できるように、努力を続けてくださいね。 最初の1音で人を惹きつけられるような、また聴きたい! 違う曲も聴いてみたい! と思ってもらえるような演奏を目指していきましょう! コンクールですから順位がついてしまいますが、本当に僅差です。この経験で得たものは大きく、昨年の自分よりずっと成長しているはずです。結果に一喜一憂しすぎずに、今後に活かして、長くピアノを続けてほしいです。 さらに進化した皆さんの演奏を是非また聴かせてください。

高校の部

八田寿美恵 先生

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高校生の皆さんは、それぞれの個性に合った選曲を行い、非常に高いレベルの演奏で、審査員一同楽しんで聴かせていただきました。その中でも特に、曲の解釈を深め、気持ちと身体が一体となり、自分自身の音楽として多彩な音色で表現できた方々が、上位に入賞されたように感じます。 演奏に対する思い入れが強くても、鍵盤上で無理に力を入れず、ホール全体の響きを意識して、曲全体としてバランスの取れた演奏を心がけると、聴き手に強い説得力を持って伝わります。また、バッハと選択曲のバランスも重要です。バッハの演奏も皆さんよく勉強されていましたが、それぞれの曲の調性や拍子を通じて、キャラクターをより深く理解し表現することが求められます。 今後もピアノ演奏の楽しさ、音楽への深い愛と感動を忘れずに、自分の道を進んでください。きっと、様々な場面で音楽が心に寄り添ってくれることでしょう。ここまで努力を続けてこられた皆さん、そして応援し続けてくださった方々に、深い敬意と感謝の気持ちを込めて拍手を送ります。

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連弾の部 A・B部門

渋谷千里 先生

本選会へ進出された皆さん、おめでとうございます。息を揃えてステージで楽しそうに弾く姿や、2人で奏でる考え抜かれた表現に大きな感動をいただきました。 連弾、特にA・B部門は学年の小さいお子さんが多く参加される分、普段のソロ演奏では難しいスケールの大きい音楽をひと足先に体感できる良い経験になったのではないかと思います。 本選会で特に心に残ったのは、そんな連弾ならではの特性を活かした奥行きのある演奏、自然な呼吸で伸びやかに歌っている演奏、音色にこだわり音楽を前へ進める勢いのある演奏です。 一方で自分のパートを弾く事に一生懸命になってしまい、各々がソロの様になっている演奏は残念に感じました。 連弾は全ての音を自分のタイミングで弾く事が出来ないという難しさがあります。しかしよく響きを聴き、相手を思いやる事でソロにはない「調和」が生まれます。音で会話が生まれた時、演奏者だけでなく聴衆にも連弾の面白さが伝わりますね。 これから連弾に挑戦される皆さんにはぜひ相手のパートも練習し、強弱のみではなくブレスやハーモニー進行を感じ、遠近・深浅など音色の変化がある音作りや、音楽の理解を深める事も大切にして頂きたいです。 もうひとつ演奏以外に大切な事は「感謝の気持ち」を伝える事です。 コンクールに参加するにあたりもちろん皆さんもよく頑張りましたが、決して1人の力でここまで来られたのではなく、周囲の人の支えがあったからこそ今の自分があると言う事をきちんと心に留められる人になって欲しいと思います。 予選・本選と長い期間ペアを組んでくれた相手、練習時間や場所の確保など環境を整えて下さった保護者の皆様、ここまで皆さんを導いて下さった指導者の先生。 先日閉幕したオリンピックではどの選手もインタビューで必ず周囲への感謝を述べていたのをTV等で皆さんも見た事と思います。日本中に感動と勇気を与えてくれた彼らの姿をお手本に、皆さんも大きな声で「ありがとう」を伝え、次への一歩を踏み出して下さい。 また来年、本選会で皆さんの演奏を聴ける事を楽しみにしています。

連弾の部 C部門

山口朋子 先生

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連弾C部門に参加してくださった10組20名の皆様、本選ご出場おめでとうございます。 自由曲でしたので、どのような選曲で聴けせて頂けるのかとても楽しみにしておりました。 課題曲がある場合と違い、最初に曲選びからスタートします。自分達の持ち味や良さを伝えられて楽しく演奏できる選曲。 そしてパートはどちらがprimoでsecondoか・・・。同じ曲でもパートが入れ替わるだけで音楽全体が大きく変わりますので、まずはパートを交換しながら試してみるのも連弾ならではの楽しみかと思います。 C部門という事もあり、皆さんさすがのレベルの高さに驚きました。それぞれソロで鍛えた技術と音楽性をきちんと生かしながらもお互いをよく聴き合い2人でしっかりと作り上げてこられた演奏がとても多かったです。 連弾は2人でひとつの曲を演奏しますので、それぞれの役割に徹することが大切です。 伴奏部分は決して単調にならずにメロディーを上手に遊ばせながら寄り添い、届けたい聴かせたいメロディーは2人で明確に意識しながらバランスを整えましょう。そして2人の音楽の波やゆらぎをお互いに常に感じ取りながら大きな流れを作っていくことが大切だと感じます。 強弱ですが、fでも2人でfですので大きくなりすぎないように。Pの場合はより繊細に。 お互いのイメージを共有しながら2人から生まれた新たな音楽に巡り合う瞬間は本当に素晴らしい事だと思います。 これからも連弾を通して音楽の対話を楽しみながら様々な曲に挑戦してくださいね。

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