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第75回全日本学生音楽コンクール
2021北海道毎日学生音楽コンクール

審査員講評

ピアノ/フルート/声楽/バイオリン

各部門の審査員を代表して

4人の先生に講評をお寄せいただきました

ピアノ部門 審査員
​竹内 啓子たけうち・けいこ先生
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 「良い子は北海道から来るのよ」という言葉を全国大会でよく耳にします。

 その演奏に巡り会うのを楽しみに札幌にやって参りました。期待に違わず、既に予選の時点から心に響く音楽を沢山聞くことができました。小学生部門シューマンのユーゲントアルバム、中学生のマズルカ、またモーツァルト、ベートーヴェンのソナタも教えられたものでなく、作品に共感を持って、そして自由に弾く演奏はとても新鮮でした。その地盤には本当の意味での優秀な教育力という支えがあるからでしょう。

 

 コンクールの審査は、若い人達のエネルギーに触れ、その高揚感を共に味わえる特別なチャンスであると同時に、割り切れないような苦いものも感じさせることがあります。満場一致で高く評価されるケースは審査員も皆ハッピーなのですが、一方、点数で合否を決めたり、順位を付ける場面では、良いものまでを同時に切り捨てるような痛々しさが残ります。入る、落ちるの境界線は微妙であり、曖昧です。しかしながら、それがコンクールであることも事実です。

 

 折しも、この10月にポーランドでショパン国際コンクールが開催されました。
 今回、日本人の活躍がめざましく、配信されたYouTubeをご覧になった方も多かったことでしょう。一部ではありますが私もショパンの音楽を、そして命をかけるような若い人達の演奏を堪能致しました。弾けないものはないというほど磨き抜かれたテクニック、楽器は最大限に鳴り、表現力に関しても更に大きな幅が求められてきていると感じました。様々な個性が、そして演奏スタイルがぶつかり合い、どのような審査結果が出るのか、その行方に注目が集まりました。

 コンクールには、その規模にかかわらず、いつもドラマが生まれます。そこに至るまでの努力の詰まった長い長い道のりが各々にあるのですから当然です。ただ、自分の信じる道が評価された人にも、そうでなかった人にも、コンクールが一つの良い経験となり大きな成長と稔りに繋がって行くことを切に願うのは毎回です。

 ここ北海道から、今後も沢山の魅力ある音楽家が育つことをお祈りしております。
 

フルート部門 審査員
橋 聖純たかはし・せいじゅん先生
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 昨年から続くコロナ禍の中で、今や世の中には「自粛」「オンライン」「リモート」「密を避ける」などの言葉が当たり前のように飛び交うようになってしまった。私達のように音楽の世界を中心に生きる者にとっては、どれも当たり前ではなかった言葉だ。コンサートやコンクール、授業、レッスンなど、今まで当たり前のようにできていたことができなくなった。

 

 コンサートやコンクールが次々と中止に追い込まれた昨年に比べれば、今年はそういった環境はだいぶ改善されてきているようにも思えるが、今回コンクールに参加したような若い世代に目をやると元の環境に戻るにはまだまだほど遠いことを痛感する。

 学校で楽器の練習をする事を制限され、練習室やスタジオの貸出しを制限され、ピアニストとのリハーサルもろくにできず、こういった話を全国の各地で耳にする。このような制限の多い状況の中でも諦めずコンクールに挑戦した参加者全員に大きなエールを送りたい。

 

 

【全体評】

 札幌コンサートホールKitara小ホールで演奏できるという恵まれた環境の中、出場者全員の「一生懸命」が伝わってきた。普段の練習の成果を発揮できた人もそうでなかった人もいると思うが、そのどちらにとっても、「今回この舞台で一生懸命演奏した」という経験が今後の上達や成長への大きなステップとなるであろう。

 毎年コンクールで言われることだが楽器の技術的なレベルは年々上がっている。昔なら音大生でもなかなか吹けなかったような曲を、今は中学生が軽々と吹いている事をみればそれは明らかだ。

 技術的レベルが上がった事により、「間違えない演奏」「ド派手な演奏」「難解な曲を吹けちゃってますという演奏」、こういった演奏をコンクールで多く耳にするようになった。

 

 しかしそのような演奏=良い演奏となるのだろうか?もちろんコンサートとコンクールとでは事情が違うのだが、昔はコンクールの舞台でも、聴いている人の胸を打つような良い演奏に出会えるときがあった。今はどうだろうか?「良い演奏とは何か?」価値観は人により様々なので答えは無限にあるだろうが、この事について考えることはとても大切だと改めて感じた本選だった。

 

【小学校の部】

 

 1名が演奏した。自然体で明るい素直な音色が良かった。予選の時よりも伸び伸び吹いている印象を受けた。身体がまだそんなに大きくない今のうちは息が続かない事も多いが、無理に一息で吹こうとせずに、どこでブレスを取れば流れを崩さず演奏できるかを考え堂々とブレスを取る場所を増やせば良いと思う。

 この先もフルートを吹く喜びを忘れずにたくさんの曲に挑戦してもらいたい。

 

 

【中学校の部】

 

 4名が演奏した。中学生になると技術的なレベルも演奏する曲の難易度もグンと上がる。魅力的な良い音で演奏する人、1つのフレーズをとても素敵に演奏する人、フルート吹いているのが楽しいと伝わってくる人、本選出場者それぞれに良い所が見受けられた。一方で、タンギングが苦手な人、中高音域は得意だが低音域は苦手な人、フレーズを音楽的に演奏するという事がまだあまりよくわかっていない人、など今後の課題も見受けられた。

 師事している先生にしっかり習って、得意なところをさらに伸ばし苦手なところを克服していってもらいたい。

 

【高校の部】

 

 4名が演奏した。中学校の部と似たような印象を受けた。つまり出場者それぞれの得意な所と苦手な所が見受けられる演奏が多かった。

 高校の部の課題曲は中学校の部に比べて当然難易度も少し上がるのだが、それよりも音楽的な内容を求められる物が多い。今演奏している部分は曲のどんな場面なのか?どんな性格の所を演奏しているのか?など、それを理解して自分の意思で演奏できているな、と感じられる人が少なかった。「間違えないように吹いている」「先生に言われたとおりに吹いている」と伝わってくる人が多かった。

 レッスンで先生に言われたことをできるようになるまで何度も練習し、最終的には先生の言葉ではなく「自分の言葉」として演奏できるようになっていってもらいたい。

声楽部門 審査員
​大嶋 恵人(おおしま・しげと先生
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【中学校の部】

  よく勉強され、基本がしっかりされている方が多く全体的に高い水準の演奏でした。素直な持ち声でのびのびと歌われ、それぞれの声にあった選曲でした。難しい曲に果敢に挑戦されてもいました。

 

 歌は言葉や詩を理解し表現するものです。その上で日本語も外国語もしっかり伝える声の技術を身につけていきましょう。支えと息の流れを意識した発声で歌いましょう。個人差があるのですが中学生ならもっと豊かな感情表現が出来そうにも思えました。お手本となる良い歌を聴くことや歌以外の演奏も聴きましょう。本を読んで知識や教養を高めることも大切ですね。

 

 声も体もこれからさらに成長します。無理せず、じっくり、ていねいに勉強して下さい。

【高校の部】

  皆さん大人の声に近くなってきており、魅力のある豊かなひびきの方が多かったです。

 

  • 声にくせがあると十分な音楽表現の妨げとなりますので、正しい発声を身につけることが何より重要です。しっかりとした支えをもって息の流れの上に声を乗せましょう。

  • 母音の統一とLegatoで歌うこと、言葉を聴いている方に明確に伝えるための舌やくちびるの使い方(子音の立て方)も意識してください。

  • 歌詞の意味を理解し表現すること。そうして、自分ならどう歌いたいのかを考えることを心がけましょう。

  • 声に任せることなく、曲の中で訴えなければならない箇所を明確にして歌うこと。立ち姿、表情などにも気をつけ、聴いている方にあなたの音楽をしっかり伝えましょう。

【大学の部】

 課題曲、自由曲の両方が整った演奏が少なかったのが残念です。

  • 発声の基本をしっかり勉強して楽器としての声を磨くことを常に追求しましょう。美しい響きを求めることはとても大切です。声楽の基本となるレガート唱法のほか、的確なリズムとフレーズ、アジリタや自分の声に見合った声区チェンジなど研究しましょう。音楽に不可欠な正しい音程は正しい発声と不可分です。

  • 言葉を音楽にするのが歌です。日本語もそうですが、イタリア語の正しい発音、曲にふさわしい子音・母音の使い分けをしっかり意識して下さい。

  • 自分の声(楽器)をよく知りましょう。その上で身の丈に合った選曲をお願いします。

  • 特にオペラではキャラクター、音楽スタイルの勉強は不可欠です。どの場面でどのような状況の中で歌う歌なのか。声を出すことのみに気をとられるのではなくオペラの登場人物が何を思い、それをどう表現するのかが重要です。

  • ピアニストは音楽の共同作業者です。バランスやフレーズの出し入れなど歌い手を支えるのはもちろんのこと、先回りして音楽を導くことも多くあることを意識して音楽を作り上げましょう。


 

バイオリン部門 審査員
​瀬 明日香(せざき・あすか先生

 

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